ごまの美容にうれしい効果! 酸化と糖化を抑えて老化を防ぐ
「ごまは美容にいい」とよく聞きますが、実際にどんな効果があるのでしょうか。
ごまは、脂質、たんぱく質、炭水化物のほか、普段の食生活で不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維を含む食品です。しかし、ごまが美容にいいと言われる最大の理由は、「セサミン」に代表される、ごま特有の微量成分「ゴマリグナン」の抗酸化作用にあります。
抗酸化作用とは、私たちの体の中で過剰にたまってしまった活性酸素を除去する働きのこと。多すぎる活性酸素は、細胞を酸化させ、老化の原因になりますが、抗酸化成分を摂ることで酸化を防げます。
また、活性酸素を取り除くと、肌のシミ・シワ・たるみなどの原因となる細胞の糖化を抑えることにもつながるのです。
この記事では、体の老化を防いで若々しさを保ってくれる、ごまの美容効果を紹介します。
老化が起こる主な原因は「酸化」と「糖化」
白髪や肌のシミ・シワ・たるみといった老化が起こる大きな原因は、細胞の「酸化」と「糖化」です。
酸化に関わっているのは、活性酸素やフリーラジカル※という物質。これらは強い酸化力を持っており、少量であれば体内に侵入した悪いものをやっつけてくれますが、増えすぎると、細胞を酸化させてストレスを与えたり、病気や老化の原因になったりします。
鉄が酸化すると錆びてボロボロになったり、切ったりんごが空気に触れると変色したりするように、私たちの体も、酸化が進むと肌のハリやみずみずしさが失われてしまうのです。
酸化が「体の錆び」と言われるのに対して、糖化は「体の焦げ」と言われています。糖化とは、体のたんぱく質と糖が結びつき、加熱されたときに起こる現象のこと。ホットケーキを高温で加熱すると褐色の焼き色が付いて固まるのも糖化のひとつです。
この糖化が体内で起こると、「AGEs(終末糖化産物)」という悪玉物質が作られます。AGEsは体のあらゆる場所に蓄積され、皮膚にたまると、コラーゲン繊維を破壊してシワやたるみを作ったり、老廃物が定着してシミやくすみの原因になったりするのです。
酸素や糖は私たちが生きるために欠かせませんが、老化を防ぐためには「抗酸化・抗糖化」対策を行う必要があります。
※フリーラジカルとは、対をなさない電子を持つ、反応性が高く不安定な分子・原子団のこと。遊離基とも呼ばれる。体内では有害な作用をもたらす。
ごまの微量成分「ゴマリグナン」で抗酸化・抗糖化
<ゴマリグナンの主要構成成分>
セサミン | 脂溶性。肝臓で代謝されて構造が変化すると、抗酸化作用を持つようになる。 肝臓の代謝酵素の働きを高める作用がある。 |
セサモリン | 脂溶性。ごまを焙煎する過程でセサモールに変わり、抗酸化作用を持つようになる。 |
セサミノール | 強い抗酸化作用を持つ。 ごま種子内ではセサミノール配糖体として存在しており、セサミノールという形ではほぼ存在しない。生のまま絞ったごま油の精製工程でセサモリンが化学変化して生成するため、生のまま絞ったごま油には豊富に含まれている。 |
セサミノール配糖体 | 水溶性。体内に入ると腸内細菌の酵素の作用でセサミノールに変わり、抗酸化作用を持つようになる。 |
※『ごまのすべてがわかる本((趣味の教科書) 』,株式会社エイ出版社,2008.より
ゴマリグナンの最も多くを占める成分がセサミンです。セサミン自体に抗酸化性はありませんが、体内に吸収されて肝臓まで届くと、肝臓の代謝酵素によって代謝されることで構造が変化し、高い抗酸化作用を持つようになります。そして、活性酸素を取り除き、フリーラジカルを消去して、細胞の酸化を抑えてくれるのです。
活性酸素は老化を促進する原因物質AGEsの生成にも関わっているため、ゴマリグナンの抗酸化作用で活性酸素を取り除けば、糖化の抑制にもつながります。
また、血糖値が上昇し、体内に余分な糖が存在する状態が続くと糖化は加速しやすいため、血糖値を適正に保つことも大切です。ごまにはたんぱく質や食物繊維も含まれているため、血糖値の急激な上昇を防いでくれますよ。
【関連記事】 ごまに含まれる「セサミン」の効果・効能|老化と戦い若々しさを保つ
美肌をサポートするビタミンや食物繊維も含有
ごまには、美肌を育てるビオチンや、糖質を効率よくエネルギー源に変えて脂肪になるのを防ぐチアミン(ビタミンB1)が含まれています。ビタミンEの仲間である「ガンマトコフェロール」は、「若返りビタミン」として知られ、美容効果が期待できる成分です。
また、ごまには便通を促し、腸内環境を改善してくれる食物繊維も含まれます。近年の研究では、セサミンが腸内の善玉菌を増やすことが明らかになりました。
便秘は吹き出物や肌荒れ、くすみといったお肌のトラブルの原因になります。ごまを食べて食物繊維を摂取し、善玉菌を増やすことは、美しい肌を保つのに効果的です。
美容のために、毎日大さじ1~2杯のごまを
ごまの持つ抗酸化力・抗糖化を取り入れるためには、毎日大さじ1~2杯のごまを食べるのがおすすめです。一度に大量に摂取しても、美容効果が高まるわけではありません。ごまは脂質とカロリーが高いので、食べ過ぎには注意しましょう。
また、ごまの皮は消化されにくく、皮つきの粒丸ごとを食べるとそのまま排出されてしまう可能性が高いです。そのため、いりごまよりはすりごま、ねりごまの状態で食べるほうが栄養成分やセサミンが消化・吸収されやすくなります。
肌や体に年齢を感じている人やいつまでも若々しくきれいでいたい人は、ぜひ毎日ごまを食べる習慣を身につけましょう!
【参考記事】ごまを毎日摂る方法|いりごま、すりごまのおすすめの食べ方を紹介
参考文献
『医師がすすめる抗酸化ごま生活』,伊藤明子著, アスコム,2020.
『ごまのすべてがわかる本((趣味の教科書) 』,株式会社エイ出版社,2008.
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