ごまの食べすぎは体に悪い? | 1日大さじ1~2杯の摂取ならデメリットもなく健康的
脂質、たんぱく質、炭水化物をバランスよく含み、活性酸素を除去する抗酸化作用を持つ「ゴマリグナン」をはじめ人間の体に必要な栄養がぎっしりと詰まったごまは、健康や美容によい食品として知られています。
「ごまの栄養成分|体に良いと言われる理由」や「ごまの効果・効能|抗酸化作用があるので40代以降の人に特におすすめ」の記事にも書いたように、アルコール代謝促進、高血圧の抑制、血栓予防、動脈硬化予防、血中コレステロールのコントロールなどの効果・効能が期待できるので、いつまでも若々しくいたい人に特におすすめです。
それでは、ごまの健康効果が得られる適切な摂取量はどれほどなのでしょうか。ごまは脂質が多いため、摂りすぎないように、目安として1日大さじ1~2杯(約10~20g)のごまを食べるのがおすすめです。この記事ではごまのカロリーや脂質、食物繊維などの栄養素と身体への影響について解説し、ごまの効果と食べ過ぎにならない適切な摂取量を紹介します。
適量の摂取であればデメリットの心配はありません。毎日の食事で無理なくごまを食べる習慣を身につければ、いきいきとした体をサポートしてくれることでしょう。
ごまは高カロリー?ごまのカロリーと適切な摂取量
ごまに含まれる主な栄養成分は以下の通り。
- 脂質(全体のおよそ50~55%)
- たんぱく質(全体のおよそ20%)
- 炭水化物(全体のおよそ18%)
いりごまやすりごまなど、ごまの形状による栄養成分の変化はほぼありません。皮むきごまは皮が除かれている分の栄養成分の変化がありますが、いずれの場合も最も多いのは脂質で、全体の半分以上を占めています。
脂質はカロリーの高い栄養素なので、食べ過ぎると太るのではないかと心配になる人のために、ごまの脂質とカロリーについて解説します。
ごまの脂質は、必須脂肪酸のリノール酸と、酸化しにくくコレステロールをコントロールする働きがあるとされるオレイン酸を多く含んでいます。これらの脂肪酸は「不飽和脂肪酸」であり、摂り過ぎが生活習慣病の要因となる「飽和脂肪酸」と比較すると、良質な脂質と言われています。
ごまの脂質割合は50~55%であるため、100gあたりのエネルギー(カロリー)は600kcal前後とかなり高いですが、先に紹介した通り、ごまの一日の摂取目安は大さじ1~2杯(約10~20g)です。その場合のカロリーは60~120kcalです。一日のカロリー摂取量目安は成人男性で2200±200kcalほどなので、1日に大さじ1~2杯のごまを食べることでカロリー過多になることはないと思われます。
ごまの商品によって内容量は異なりますが、100g入りのいりごまであれば、1袋を10日ほどかけて食べるイメージなら、適量だといえるでしょう。カロリー過多はもちろん肥満の原因になり得ます。バランスの良い食事に適量のごまを加えてみてくださいね。
肥満は心筋梗塞をはじめとする循環器疾患などの生活習慣病の健康リスクを高めるといわれています。しかし、ごまの脂質はリノール酸とオレイン酸を主とした「不飽和脂肪酸」でできており、「飽和脂肪酸」と比べると生活習慣病リスクの低い良質な脂質です。
もちろん、カロリー過多は肥満の要因となり、健康を害しますので過剰摂取はいけませんが、ごまから脂質を摂取することは脂質の「質」の面で健康に良いことと言えます。また、ごまに含まれるセサミンには血液サラサラ効果など生活習慣病予防効果が期待されるので、適量の摂取でごまの健康効果を享受しましょう。
ごまは高脂質?ニキビへの影響は?|ごまの脂質について
ポテトチップスなどのスナック菓子を食べてニキビができた経験はありませんか。油っぽい食べ物を食べ過ぎると皮脂分泌が増えてニキビの原因になる場合があるといわれています。ごまは脂質含量が高いので、食べ過ぎは脂質の摂り過ぎやニキビの原因になるのではと心配になりますね。
では、脂質の一日の摂取目安はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省は、脂質の摂取目標値を摂取カロリーに占める割合として20~30%と定めています。重量に換算すると、性別や体重や活動量によって変わりますが、例えば一日に2000kcalを必要とする成人女性で、おおよそ45~65g程の脂質が摂取目安となります。
ごまはその約50%が脂質で出来ていますので、食べ過ぎは脂質の摂り過ぎにつながりますが、大さじ1~2杯(10~20g)のごまに含まれる脂質は5~10gほどです。目安を意識して摂れば脂質の過剰摂取にはつながらないと考えられます。
ただ、現代の日本人は脂質過多になりがちな食生活をしています。まずはバランスの良い食事を意識し、プラスαとしてごまを追加してみてくださいね。
また、先にも紹介しましたが、ごまの脂質は不飽和脂肪酸が主で生活習慣病の要因になりにくい良質な脂質です。ごまは高脂質な食品ですが、食べ過ぎなければ健康的な脂質源となります。特にリノール酸は体内で合成できない必須脂肪酸であり、不足すると皮膚が炎症を起こすなど皮膚の健康に関わる栄養素でもあります。肌の健康のためにはリノール酸は必要なものでもあるのですね。とはいっても脂質ですので、肌や健康のためにも摂り過ぎに注意しながら取り入れてみてください。
ニキビなど炎症のない健康的な肌を保つには総合的な栄養バランスが大切です。ごまに限らず、特定の食べ物をたくさん食べるのは控えてバランスの良い食事にごまを取り入れてみてください。
ごまの食物繊維の便秘への影響は?食物繊維と便秘の関係
ごまは食物繊維を豊富に含む食品です。その含有量は、いりごま100gあたり12.6gと10%以上が食物繊維です。何度も紹介していますが、ごまの一日の摂取目安は大さじ1~2杯(10~20g)です。そのうち食物繊維は約1.2~2.4gという計算になります。
そもそも食物繊維の摂取目安量はどれほどなのでしょうか。厚生労働省は、一日あたりの「目標量」は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上と定めています。
しかし、現代の日本人の食物繊維平均摂取量は1日あたり14g前後と言われており、多くの日本人は食物繊維が不足気味となっています。1日3~4gほど追加して摂取できると「目標量」に近づきますね。ごまを大さじ1~2杯追加することで手軽に食物繊維が追加できます。
このようにごまからも摂取できる食物繊維ですが、一般的に「便秘がちなら食物繊維を意識して摂るようにするとよい」といわれるのは、便のかさが増えることで大腸のぜん動運動によって便が排出されやすくなるためです。食物繊維には便のかさを増す「不溶性食物繊維」と、便を軟らかくする「水溶性食物繊維」があり、ごまには不溶性食物繊維が多く含まれています。
しかし、慢性的な便秘の人はぜん動運動の機能が低下しているため、便のかさが増えすぎるとスムーズに運ばれなくなってしまいます。大腸内に長くとどまった便は腸壁に水分を吸収され、硬くなるため、余計にひどい便秘になってしまうことも……。
このぜん動運動そのものの低下によって起こる便秘が「弛緩性便秘」であるのに対して、大腸の動き(収縮)が不規則になってしまって便が排出されにくくなるのが「痙攣性便秘」です。痙攣性便秘は、精神的なストレスによる自律神経の乱れが原因で起こります。
いずれの場合も、適量の不溶性食物繊維であれば問題はなく、便秘解消のためには食生活の改善、食物繊維の摂取がすすめられますが、お腹が張ったり、ガスがたまったりする頑固な便秘のときには、不溶性食物繊維の摂りすぎには注意しましょう。ごまを食べることで食物繊維の摂取量を追加したい場合は、大さじ1~2杯という目安を意識していただくのがおすすめです。
適量(1日大さじ1~2杯の摂取でごまの健康効果を!
ごまを食べすぎるとカロリー過多や脂質の摂り過ぎになったり、ニキビや便秘の原因になったりすると聞くと、「体に悪いのかも?」と不安になるかもしれません。しかし、これはあくまで「ごまを食べすぎた場合」の話です。1日大さじ1~2杯のごまであれば、まったく心配はありません。
ごまの食べすぎには脂質の過剰摂取というデメリットがあるので、「毎日茶わん一杯のごまを食べる」といったような無茶なことは避けるべきですが、適量のごまであれば健康や美容によい効果が期待できます。
ごまのメリットについては、「ごまの栄養成分|体に良いと言われる理由」や「ごまの美容にうれしい効果! 酸化と糖化を抑えて老化を防ぐ」の記事をご覧くださいね。
毎日の食事で大さじ1~2杯のごまを食べる習慣を身につけて、健やかな毎日を送りましょう。
参考文献
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
農林水産省 脂質のとりすぎに注意
食物繊維の必要性と健康 .厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト. 参照2023-05-31
脂質による健康影響. 農林水産省. 参照2023-06-01
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