ごまの栄養成分|体に良いと言われる理由
栄養豊富で体に良い食品として知られるごま。油を取れるくらいなので、脂質が多く高カロリーのイメージがあるかもしれませんが、他にもたんぱく質、炭水化物、ミネラル、食物繊維と、私たちの体に必要な栄養素がぎっしり詰まっています。
この記事では、ごまに含まれる成分や、ごまが健康によいと言われる理由を解説します。
ごまの栄養成分の50%以上は脂質で、リノール酸やオレイン酸が豊富
ごまに含まれる主な栄養成分は、脂質(全体のおよそ50~55%)、たんぱく質(全体のおよそ20%)、炭水化物(全体のおよそ18%)です。そのほか、鉄やカルシウムなどのミネラル、ビタミンB1、ビタミンB2などのビタミン、食物繊維などが含まれています。
あらいごま | いりごま | 皮むきごま | |
エネルギー (kcal) | 578 | 599 | 603 |
たんぱく質 (g) | 19.8 | 20.3 | 19.3 |
脂質 (g) | 51.9 | 54.2 | 54.9 |
炭水化物 (g) | 18.4 | 18.5 | 18.8 |
カルシウム (mg) | 1200 | 1200 | 62 |
鉄 (mg) | 9.6 | 9.9 | 6.0 |
ビタミンB1 (mg) | 0.95 | 0.49 | 1.25 |
ビタミンB2 (mg) | 0.25 | 0.23 | 0.14 |
食物繊維 (g) | 10.8 | 12.6 | 13.0 |
亜鉛 (mg) | 5.5 | 5.9 | 5.5 |
*可食部100gあたり。『五訂日本食品標準成分表』より
ごまの形状(種皮の有無)によって栄養成分は異なりますが、いずれの場合も最も多いのは脂質で、全体の半分以上を占めています。
ごまの脂質には、体内で合成できない必須脂肪酸のリノール酸と、酸化しにくくコレステロールをコントロールする働きがあるとされるオレイン酸が多く含まれるのが特徴です。
リノール酸とオレイン酸のバランスがだいたい1対1なので、栄養学的にも油脂の安定性からも理想的と言えます。
- リノール酸
- 血中のコレステロールを下げる作用があり、生活習慣病の予防に効果が期待できる。
- オレイン酸
- 善玉(HDL)コレステロールを下げずに、悪玉(LDL)コレステロールを下げる働きがある。
便秘を予防・改善する。
全体の約20%を占めるたんぱく質のほか、ビタミン(ビタミンB1、B2、E、ナイアシン)や、ミネラル(セレン、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅など)も含まれます。
また、注目すべきは、ごま特有の機能成分として、抗酸化物質のゴマリグナンが含まれていること。「ごまには抗酸化作用がある」「二日酔いにいい」「老化防止になる」と言われてるのは、このゴマリグナンの作用のおかげです。
特に、4種類あるゴマリグナンのひとつ、セサミンには、肝臓の働きを助ける、血中コレステロールの上昇を抑えるなどの効果があり、注目されています。
ごまの種類(白・黒・金)が違っても栄養はほとんど変わらない
私たちがお店で見かけるごまは、大きく分けて「白ごま」「黒ごま」「金ごま」の3種類ですが、細かく分類すると世界にはおよそ3,000種のごまがあると言われています。
白ごまと黒ごまは外皮の色が異なりますが、ごまの種類が違っても、含まれる栄養素や成分には大きな違いはありません。強いて挙げるなら、黒ごまは白ごまや金ごまに比べて脂質がやや少なめです。
白ごま、黒ごま、金ごまの風味はそれぞれ特徴があるので、食べるときはごまの種類による栄養素の差を気にするのではなく、味や香り、料理との相性を意識するのが良いでしょう。
吸収の良い食べ方をしたいなら、いりごまよりすりごまがおすすめ
ごまの皮は消化されにくく、皮つきの粒丸ごとを食べるとそのまま排出されてしまう可能性が高いです。そのため、いりごまよりはすりごま、ねりごまの状態で食べるほうが栄養成分やセサミンが消化・吸収されやすくなります。
粒のまま使いたいけれど吸収を良くしたいのであれば、皮むきタイプのいりごまを選ぶのも一つの方法です。ただし、皮をむいたものはごま特有の良い香りがでないので、用途に合わせて使い分けるのが良いでしょう。
また、ごまに含まれるゴマリグナンは、ナッツ類、ツナ缶、うなぎなど、ビタミンEが含まれる食品といっしょに摂るとビタミンE活性がより増強されます。ビタミンEは抗酸化作用を持ち、老化を抑えて若々しい状態へ導いてくれるので、積極的に摂りたい栄養素です。
食べ過ぎると脂質過多に。目安は1日大さじ1~2杯
どんな食品でも食べすぎは良くありませんが、ごまに関しては、特に脂質とカロリーが高いので、食べ過ぎると脂質過多になってしまいます。例えば20gのごまを食べると、その半分の10gは油なので、取り過ぎには注意しましょう。
目安として、1日大さじ1~2杯(約10g)のごまを食べるのがおすすめです。
まとめ|毎日の食事にごまを取り入れよう
ここまで解説したように、ごまは栄養豊富な食品で、人体では作り出せない必須脂肪酸や、さまざまな働きが期待できる特有成分であるゴマリグナンを含んでいます。
ゴマリグナンには活性酸素を除去する抗酸化作用があるので、加齢やストレスが気になっている人は、特に意識して摂りたい栄養素です。
ごまは薬ではないので、一度に大量に摂取しても病気が治るわけではありません。しかし、毎日の食事で無理なくごまを食べる習慣を身につければ、いきいきとした毎日をサポートする頼もしい味方になってくれることでしょう。
ごまの種類による栄養成分の差はほとんどないので、自分の食生活に取り入れやすいものを選ぶのがおすすめです。真誠にはさまざまなタイプのごま製品があるので、ぜひ使いやすいもの、好みの食感や味わいのものを選んでみてください。
参考文献
農林水産省 ゴマについて、黒ゴマ、白ゴマなど種類がありますが、何が違うのですか。
女子栄養大学 ごまの栄養成分
公益財団法人 ポリフェノールの種類と効果と摂取方法
日本ゴマ科学会 並木満夫 編.『ゴマ その科学と機能性』,丸善プラネット株式会社,1998.
『ごまのすべてがわかる本((趣味の教科書) 』,株式会社エイ出版社,2008.
この記事を書いた人